デジタルカメラガイドブック'97、本当の編集後記

が、皆様の厚いご協力のすえ発売されました。
ご購入された方々、厚く御礼申し上げます。
へっへー。初めての著作だもんね。デジカメメーカーの人から、「いつも辛辣な批評ありがとうございます(=もう勘弁して)」と言われてきたものが、集大成となって本になってしまいました。しかもわたしが担当したページはすべて書き下ろし。新製品の乱発に、構成を練り直す事10数回。結局最後は編集の望月さんがオーバーフローして、二人で頭が悪くなったなか、原稿の入校が終わったら編集部で編集のアルバイトまでしてしまいました。とほほ。課内製手工業とはこのことよ。
編集後記でも書いたのですが、いままでデジカメを批評する時、結構あいまいな言葉を使っていたと反省しています。これは、私のポリシーでもあって、「難しい事を、よりわかりやすく。機構的な事を理解できても使えるように」という精神に基づきます。つまり、仕様がなんであろうが、どう使えるかが問題である、というわけです。食ったものがうまければ、それが肉なのか、実は大豆で作られているのか、それはどーでもいーじゃん、というわけです。
しかし、ここに来て方向転換しました。デジカメメーカーの人がいたら、よく見てくださいね。いまのデジカメはリリースまでのテスト基準が低すぎる。たとえば、バッテリーをばかばか食ったり、ファインダー視野率が低かったり、液晶モニターがとてもTFTとは思えなかったり、と通常の家電の基準から見てもあまりに合格基準が低い。それから!、デジカメとソフトを同時に発売しないなんて言語道断です。家電だからなんていいわけにならないゾ、S社。で、こういった状況に合って、例えば希望に胸を膨らませてデジカメを買った人が、どれだけ失望するか。この失望が、デジカメの終焉を導かなければいいと、祈るような気持ちで考えるわけです。低い合格基準でリリースする、ということは、イコール自分たちの首を絞めるということだと、よく理解していただきたい。そして、せめて他のメーカーが失敗した事は、同じ轍は踏まない、それぐらいはして欲しいです。カメラメーカーに講釈をたれるようですが、CANON
EOS1とNIKON F5の関係が良い例でしょう。切磋琢磨して欲しいです。何の話でしたっけ?。そうそう、あいまいな言葉を使わないということですね。メーカーに猛省を願いつつ、ユーザーもよくデジカメという機構を理解していただきたい、というわけで、デジカメの機能を解明するような書き方にしたわけです。とくに、実は今回一番渾身で書いたページは、没になったのですが、「ノイズについての講釈」です。つまり、デジカメではこう言う理由でデータが劣化する、というやつです。結局はカラーページ1枚と用語集に含まれるような形になりましたが、本当はユーザーにあれを原文で読んでほしかった。(そのうち、ここで掲載します。)そして、自分が撮った写真が、うまく写らなくても、なぜうまく写らなかったかを理解しつつ、その性能を100%引き出す努力をして欲しいと思うわけです。欠点があるやつほどかわいいでしょ。そういう事なんです。
ところで、富士フィルムのDS-8の作例の中の水中写真、気がつきました?。
私が常々水中パックを出せだせと言っていたところ、富士フィルムの人が「実は・・・」といって出してきてくれたのが、これ
DS-7/8用、水中デジカメパックなのです。お弁当箱状なのは、試作品だからです。制作は「潜ルンです」でも有名なUNです。これを見て欲しいと思った方は、UNと富士フィルムにガンガンお問い合わせしてください。それによって発売されるかどうかが決まります。現在この試作品では25mmの水深まで対応していますが、多分製品になれば、もっとスマートにフィットした形になって、水深50mまでいけるようになるでしょう。ちなみに値段については聞いてませんが、潜ルンですが実売9000円程度、水中カメラNIKONのNIKONOS
Vが実売61900円(ヨドバシカメラ)である事を考えると、相応な値段で出して欲しいです。
ところでメーカーの人に聞いた話なのですが、こういった水中パックの用途は、何も水際だけに限りません。そりゃ、昔のソニーのハンディカム用20万円也のパックと違って数万円で買えるわけですし、形も小ぶりなので、現在では海が4割、スキーが6割なのだそうです。ということで、スキー場にも持っていきたいが、ぬれると恐いと思う方も、どしどし問い合わせ攻撃をして富士フィルムとUNを発売に追い込みましょう。
今度、約束どおりパラオに行ってきますよ、M田さんM井さん。ぶくぶくぶく。
というわけで、結びです。
今回の本の制作ではいろんなデジカメメーカーの方にお世話になりました。撮った画像は何と230MB3枚分。もう画像整理だけで気がくるいそうになりました。で思った事は、ひとつ。今のデジカメはやはりギアにはなれないと言う事です。こだわりなのかもしれませんが、実は私はこんなカメラを持っています。
オリンパス 35 RC(後ろは部品どり用)
詳しい仕様などは知りませんが、要するにちっちゃくって、でも絞りもシャッタースピードもマニュアルで、シャッタースピード優先AEがついていて、とともメカニカル。触ってて気持ちいい。なにより思ったままの写真を撮れる自由度が有ります。
それからこんなのもあります。
YASHICAMAT EM
じいさんの形見ですね。もう3回オーバーホールしつつ現役です。
何を言いたいか。デジカメは、結構未来が暗いと思うのです。単なるVGAサイズであればデジタルビデオカメラや、日立のMPEGカメラなんかが出てきているわけですから。もしデジタルカメラが永遠に生き残りたいのなら、やはり真剣にギアになる事を考える時期に来ていると思います。コストがかかることは分かっていますが、CONTAX
G1をだれが高いといったでしょう。みんなホロゴン買ってるんじゃないでしょうか。さすがにデジカメはエンスーのアイテムとして生き残ってもらっては困るので、女性にも訴えるように、ビーンズライターとか、オープンハートの質感も勉強しつつ、見ているだけでうれしい、所有しているだけでうれしい、そういうアイテムになって欲しいと思うのです。そして、こういったナンパな部分を持ちつつ、マニュアルで写真を撮るための練習機としての要素、つまり、絞りとシャッタースピードの組み合わせを幾通りも変えて写真を撮り、その場で良し悪しを学習する練習機になって欲しいと思うのです。つまり銀塩というか、写真そのものへの真摯な態度への橋渡しいなって欲しいと思うのです。分かっていただけますでしょうか。楽しみにしています。皆々様。
最後に今回の編集に際して、いろいろにご協力願ったかたがたにお礼を申し上げます。
器材手配・取材協力・インタビューアレンジメントなど 富士プレゼンテック 企画製作部 森田様
器材手配・インタビューアレンジメントなど 富士フィルム 電子映像事業本部 永島様、三ツ井様、川島様
アラジンシステムに関する講習・取材手配 富士フィルム 第一営業本部感材部 岡田様
デジカメの技術的考察・構造に関する講習 富士フィルム 電子映像事業本部 小西様
銀塩写真からのデジカメの考察 富士フィルム 電子映像事業本部 次田様
器材手配 リコーアドエージェンシー 橋間様
器材手配 オリンパス販売 飯塚様
KODAKデジカメの圧縮方式に関する考察 日本コダック ヤスダ様
取材協力 有限会社カメラ堂(東京都中央区)
技術考察及びアドバイス 山田久美夫様 伊達淳一様
その他 器材を手配くださった各社の方々
こうやって見ると富士フィルム多いでしょ。みんな私の事をフジッコて呼びますけどね、「わかんない事があったらなんでも聞いてくれ」とか、「きちんとご説明したいので、ぜひお会いしたい。こちらから伺ってもいい」とか言ってくれるの富士フィルムだけなんすよ。本見ても分かってもらえるでしょうけど、決して富士よりの記事なんか書いてませんでしょ。だから皆さん、もっとお顔を見てお話ししましょうね。私も皆さんの事をよく知りたいのです。
読者の皆様、メーカーの皆様、メールくださいね。
文月 凉(tornado@unioncg.or.jp)
その後、各メーカーさんから、活発に会話のお誘いが来ており、現在では10数社の方と直接メールをやり取りできるようになったことは、喜ばしい事です。銀塩の世界ではありえないこういった一体感が、ユーザーにとってのよう商品という形で結実できる事を願ってやみません。
1997/12/15 文月 凉 |